治験バイトと治験ボランティアは違う?

治験ボランティアという存在をご存知でしょうか? 多くの人が「副作用が心配」「高額アルバイト」というような認識を持っているかも知れません。
ここでは、正しい治験の理解を持っていただけるよう説明をさせていただきます。

治験とは


「くすりの候補」が「くすり」となって、患者さんの治療に使われるようになるためには、国(厚生労働省)から医薬品として承認を得なければいけません。
そのためには健康な人や患者さんのご協力によって、効き目(有効性)と副作用(安全性)を調べる必要があります。
この試験を「治験」と呼び、治験で用いられる「くすりの候補」を「治験薬」と呼んでいます。

新薬開発のプロセス


現在我が国では、一年間におよそ40~50種類の新しいお薬(新医薬品)が誕生しています。
新薬の開発は候補物質の探索(基礎研究)にはじまり、さまざまな研究や試験を行っていきますが、約10年以上もの長い開発期間と数百億円もの費用がかかるといわれています。

(1)基礎研究(2~3年)


天然素材(植物・動物・鉱物など)からの抽出や、化学合成・バイオテクノロジーなどさまざまな科学技術を活用して、くすりの候補となる化合物をつくり、その可能性を調べる研究です。候補となる新規物質の化学構造を調べ、スクリーニング試験を繰り返しおこなって、取捨選択していきます。最近はゲノム情報の活用も進められています。

(2)非臨床試験(3~5年)


くすりになる可能性のある新規物質の有効性と安全性を、動物や試験のために人工的に育てた細胞を用いて確認します。
また、物質が体の中でどのように吸収され体内に分布していくのか、どのような影響を与えて体の外へ排泄されていくのかなどを観察したり、物質自体の品質、安定性に関する試験もおこないます。

(3)臨床試験(3~7年)


非臨床試験を通過したくすりの候補が、人にとって有効で安全なものかどうかを調べるのが臨床試験(治験)です。
治験は3段階に分かれていて、病院などの医療機関で、あらかじめ同意を得た健康な人や患者さんを対象に繰り返し試験をおこない、データを収集して、くすりとしての可否を判断します。

(4)承認申請と審査(1~2年)


くすりとして有効性・安全性・品質が証明された後、厚生労働省に対して承認を得るための申請をおこないます。
厚生労働省では、医薬品医療機器総合機構に審査を依頼し、その審査を通過した後に、学識経験者などで構成する薬事・食品衛生審議会の審議を経て、厚生労働大臣が許可すると、医薬品として製造・販売することができます。

以上のように基礎研究から製造・販売まで、くすりの開発には長い期間と多くの費用が必要です。

治験の種類


治験には「通院」「入院」の2種類のタイプがあります。
それぞれのタイプの特徴や違い、メリットやデメリットは次の通りです。

特徴 通院タイプ 入院タイプ
メリット ・決められた日に通院する ・1日~1ヶ月程度の入院が必要
・拘束時間が短い ・謝礼が高い
・行動制限が比較的少ない ・食事が無料で提供される
デメリット ・謝礼が低い傾向にある ・拘束時間が長い
・行動制限が比較的多い

通院タイプの治験では、決められた日に通院して、薬の投与や検査を受けることが特徴です。
土日祝日等にうまく予定が調整できれば、会社員の方でも参加可能です。
一方、入院タイプの治験では、まとまった日数の都合を終日確保しておかなければならないため、会社員などのお仕事を持った方の参加が難しくなります。

負担軽減費(謝礼)


治験に参加された方への謝礼は「負担軽減費」という形で支払われます。
「高収入アルバイト」「治験バイト」という表現をしている一部のサイトでは「アルバイト代」「報酬」という言葉が使われていますが、正式に被験者募集を受託している機関ではそのような表現はいたしません。
負担軽減費は、治験に参加された方にお願いしなければならない日常生活での制限(運動や飲酒など)や入院・通院における時間的拘束、経済的負担(交通費や昼食代など)に対して支払われるもので、
薬を投与される行為そのものやそのリスクに支払われるものではないからです。
謝礼を受け取る方からすると、「どちらにしろ支払われる金額は同じなんだから、名目はどっちでも気にしないよ」と思うかもしれませんが、「負担軽減費」と「報酬」では全然、意味合いが異なります。

上記説明したようにあくまでも治験ボランティアの不利益面を救済する為のものなので、治験バイト、高収入アルバイト、高額アルバイト、新薬モニターなどと言って参加者募集を実施しているところは、
この負担軽減費を報酬と偽りアルバイト代などの名称で参加者募集を行っていますので、そういったサイトにはご注意ください。

負担軽減費の目安

通院タイプ 1通院 7,000~10,000円
入院タイプ 1泊 20,000~30,000円

まとめ


治験にはさまざまな種類があります。自分の条件に合うものを選びましょう。
治験は普段の生活が不規則であったり、食生活が偏っている方は受けられないことがあります。また、喫煙の習慣がある方は参加できないことが多いため注意しましょう。
当サイトに詳しい条件が記載されています。まず自分がその条件に合うかどうか確認してみましょう。

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